楽したい
誰が電話に出るか、出ないかっていう駆け引き、心理戦、無言の攻防は、多分日本全国、どこのオフィスでも繰り広げられていると思う。
できれば誰も、電話なんか出たくない。コミュニケーション能力に難がある私でなくとも、多分みんな嫌なんだろうな。っていうのは社内の空気で分かる。
電話に1出れば、10ストレスが加算されて、電話に出れば出るだけストレスがこれでもかってくらいに積もりつもって、連続で出ると連鎖ボーナスでさらにストレス+疲労が加算されていくから、仕事が終わる頃には死んだような顔になっている。
でも、取らなきゃいけない。仕事だから。
他の人が受話器を取った0コンマ8秒後くらいのタイミングで受話器を取ってみたり。
(あー、取ったんですけど間に合わなかったんですよー風な装いで、わざと音を立てて受話器を置く)
うつむいて何か書いているフリをしてみたり。
あるいはカチャカチャとあざとくキーボードを叩いてみたり。
(私仕事してるんですよー忙しいんですよーだからあなた取ってね。とでも言っているようなかんじで。)
または、さも用事があるように頻繁に席を立ってみたり。
そんな周囲の創意工夫に負けじと、私も取るまいとするんだけれど、
なぜか一番多く電話を取ってしまう。
多分、気が弱い。私。
電話を取った数=給料に反映されるなら、みんな、我先にと電話を取るはずなのに。
電話を取った数=ストレスに直結するから、誰も取りたがらない。
そりゃなんの得にもならないことを、率先してやる人なんてそうそういないよね。
でも、例え他人の嫌がることでも率先してやるような人には、信頼だったり、人徳だったりがついてくる。 誰かはきっと見てくれてるはずだから。
でも私はそんなものいらないから楽したい、が本音。