深海のこえ

コミュ障・元ひきこもりOLの日常とかぼやき

もう一度あいたい

チャットレディという仕事がある。

パソコンにウェブカメラとマイクを繋いで男性と話し、その時間によってポイントが加算され報酬がもらえる、っていう仕組み。

私はチャットレディやったことないけど(そもそも容姿とコミュニケーション能力に難ありだから無理)、ライブチャットサイトに入り浸っていたことはある。

客として。といってもお金は使ったことなくて、登録時にもらった無料ポイントを使っただけで、あとは待機中の女の子を眺めているだけ。(時間制限はあるけど待機画面を眺めるだけならポイントがいらない)

なんでそんなことしてたかっていうと、単純に暇だったから。あと、10代でインターネットを始めたばかりの頃だったから、興味本位でもあった。

 

画面を彩る女たちを、まるでショーケースに並ぶ色とりどりのケーキを選んでいくみたいにして眺めてた。

彼女たちの化粧が濃いのは、カメラ写りを良くするためでもあるけれど、身バレを防ぐためでもあるという。チークもアイラインも口紅も外国のお菓子みたいに毒々しくて、ずっと見ているだけで結構お腹いっぱいになってくる。

待機画面では、満面の笑顔で手を振る子、胸の谷間を強調する子、自慢の脚を見せてる子、色々いるけど、共通して、なんかいやらしさがある。鯉が水面から口出してパクパクしてるみたいに見える。欲にまみれてるというか。一様にオカネチョーダイって言ってるように見えた。 

そんな中で、ナチュラルな感じの子がいた。周りが派手すぎて、逆に目をひいた。

髪も黒いし化粧も薄かったけど美人だった。待機画面でのふるまいも自然体。

甘ったるく味の濃いお菓子ばかりに飽き飽きしていた私は、その子のページに飛んでみた。

みんな、自分のページにはだいたい自身のホームページとかブログのURLを貼っていて、その子も同じように貼っていたから、なんの気なしにクリックした。

きょぉのコーデ☆とか○○風メィク♪とか、写真をいっぱい貼った女子力高めのブログが多かったから、ご多分にもれず、これもそういう感じだろうなぁって思いながら。

 

ところが違った。文章のみだった。

しかも、なんのこっちゃ分からないような文章。抽象的すぎる。詩みたいなかんじ?

なんのこっちゃ分からないけども、私はすごく惹かれた。読んでいると匂いや空気が伝わってきて、その人の世界に包み込まれてしまうような不思議な感覚。そしてどこか、哀しくて懐かしい。

その感覚が癖になった私は、彼女のサイトに入り浸るようになった。

数ヶ月に1回更新されるかされないか、の頻度だったけれど、何度も行った。彼女の文章が好きだった。

だけど別れは突然やってきて、彼女のサイトはいつの間にか消滅していた。ライブチャットサイトからも姿を消していた。

 

ネットの悲しいところは、そうなると二度と会えないところ。その時からもう6、7年は経っているけれど、未だにふと、思い出したように彼女を探してしまうときがある。

もう二度と会えない、と思うと、人間は勝手にそれを美化してしまう。もしかしたら私も美化しているのかもしれない。でも、それでもいい。

どこかでまた、ひっそりと文章を書いていたらいいなぁ。そしてまたいつか、巡りあいたい。

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